LOVE LETTER

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小松玲子/independent*

1964年東京オリンピックの開会式開始の時に鳴り響いたサウンドはサヌカイトの音色でした。約2万年前の縄文時代、金属器の伝来まで日本列島に住む人類は、サヌカイトという火成岩で石器を作っていた。水晶より硬いが、もろく壊れ易い。やじりやナイフ形にして使われ、断面は鋭い切れ味だという。香川県で採取され、讃岐岩が由来のサヌカイト。野ざらしの石をハンマーで叩くとクリスタルボウルの様な音が響く採掘場の風景はなんとも神秘的。2万余年を経て、武器として重宝された石は楽器になり、戦闘行為が微塵も無い心の静寂を促す響きを醸し出している。これは遥か昔、マグマが冷えて固まった岩。人類の祖先が手にした石器。と想像しながら。→