
浅川マキ/Universal Music
寺山修司作詞『ふしあわせという名の猫』でぴったり寄り添う猫とは、女を捨てた男のへの未練や傷ついた記憶のことだと、何年も聴き続けていたが。2021年橋爪ももの『猫です』を聴いて変わった。野良猫が乱暴や放浪の末に、偶然おばあさんに出会い優しさを受け、孤独な猫はお母さんを思い出す。この猫と出会ったおばあさんは、浅川マキが唄った「ふしあわせという名の猫がいるから私は一人ぼっちじゃない」とつぶやいたあの女性なのではないか。辛く孤独だった一人と一匹が、何か通じるものがあって一緒に過ごした。女は猫を撫でながら、猫も自分も同一の存在になり、自分が猫に撫でられ慰められた様な、そんな時間を過ごしたに違いない。→