
松村禎三、新星日本交響楽団/Camerata
カメラータは『深い河』のサントラと同じレーベル。遠藤周作原作の映画「海と毒薬」「深い河」「愛する(わたしが・棄てた・女)」の劇伴を書いた松村禎三による唯一のオペラ作品。ナレーションは無い、話し口調のセリフはわずかに繋ぎのみ。小説中の重要かつ印象的な場面が、当事者たちの唄う心情でストーリーが進む。信者の村人がプライドを折られ、棄教あるいは殉教してゆく。ロドリゴが踏み絵を迫られるシーンは、暗雲に襲われる迫力。この作品は、当初制作期間5年の契約で始まったが、完成までに13年かかっている。ラストで神の沈黙の声を聞くこの小説、それをオペラとして作曲するなんと大きな仕事だろう。2枚組16曲2時間。→