ことの は

ことの は

小谷美紗子/バウンディ

『ことのは』リリース時のUSTREAM全曲試聴会はお祭りみたいで、その後に聴く作品が3.11の鎮魂歌『3月のこと』になるとは考えもしなかった。 復興ソングで水を得た魚の様に「気持ちを一つに!がんばろう」と、大声で皆を先導する歌手は一辺倒の事しか言わなかった。もうがんばれないし、気持ちは私の自由にさせて欲しい、日常を装う意味がわからない。秋になってやっと、小谷美紗子がスタインウェイのピアノ一台で「歌なんか、今そんなもの聴いてもしょうがない、大事な人が死んだら」って唄い始めたら、対象不在の皆でなく、言葉は私個人に届いたし、その歌を聴いていけば、誰が自分を愛してくれているのか、自分は誰に会えばいいのかが分かった。→