
LUNA SEA/MCAビクター
雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』文庫の1巻は、田舎街の閉塞感が痛々しく、日常を壊してくれるX、LUNA SEAモチーフのヴィジュアル系バンド描写が瑞々しい。中学生がロックに撃たれ、ライブに触れ、東京から来たバンドメンバーが泊まるホテルの前で一目見たくて出待ちして、目が合った!とキャーキャー騒ぐ。こんなに楽しいことは他に無いだろう。よい子の友達とは遠ざかり母親とも心が離れても、会いたい人に会いたい。ロックの洗礼を受けた10代の心が、今自分は誰に会いたいのかハッキリ反応する。バンドマンは大人で、そこへ届こうとコスプレするバンギャルのリアリティは、おカネの無さ。思春期には走る足以外、何も持っていない。→