愛すべきものすべてに

愛すべきものすべてに

尾崎豊/ソニー

雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』文庫の2巻は、バンギャルが北海道の実家を出て、中央線の中野で自活を始めるまで。東京の子と文通できて、実際に会ったらダサい子だったけど上京の夢を運んできた。V系に心酔し高校のクラスに馴染めなかったけど、文化祭バンド男子との急接近。そして、娘を全否定し何もかも取り上げた母との固執が、若者の代弁者と呼ばれたカリスマロッカーの急死をきっかけに打ち解ける。狂信的ファン同士、出会えば友達も親子も共感し合う。でもバンドがテレビに出ても新聞に載っても、バンドと共に伝説を作った気分になっても、ファンはお客さんの一人に過ぎないという現実が、インディーズの黒歴史「PV撮影川飛び込み溺死事件」で描かれる。→