
小谷美紗子/UNIVERSAL J
アルバム発売の開く期間に、たまーに昔のシングルを発掘している。『Then』の時期のアルバム未収録2曲の内の1つ『Un Deux Trois』は、故郷のお母さんに対して独り言を想うように始まる誰かの私小説。元彼に悲しい仕打ちを受けたこと、仕返ししようとしてやめたこと、素敵な相談相手がいること、昨日そのひとに好きですと言えたこと。仕事場で未来が無いと感じたこと。お母さんに教えられたことがいつも自分を助けてくれること。過去に『四季』や『crotchet』で唄われた悲恋のあの娘たち、好きな人の幸せを願うだけで良しとした主人公の誰かが、やっと大きな声で「好きです」と言えたようで、これはいい短編小説だった。→