Sail

Sail

田中亜矢/OZ Disc

インディーズマガジン付録CDに1曲入ってたデモを聴いて即買い。ギター一本弾き語り。2000年に歌を作り始めたって!これは作って数カ月後に世に放たれた。「漂ってるしかなかったんだー」それを唄うためにギターを取ったというのか。心地よくささやかれる「ギター」と、細くも底深く鳴る「歌声」が、一人の部屋に深々と積もってゆく。雑誌の記事をよく見かけるけど、やっぱ、これをほっておいたらダメだってくらい感受性のアンテナに応答する。メッセージでなく、なにげない歌なのだけど、初期衝動とか、創作者の内面性の波紋とか、無常が滲む純度の高い詞。瞬くフィラメントみたいな「揺らぎ」が、ミドルトーンの張り上げない声に目立たず溶けている。→