
中井大悟/エムズレコーズ
まるでギター一本男性シンガーソングライターの歴史をつなげているような弾き語りの歌声なんだ。かつてフォークギターを持っていたような会社の上層部のおじさんたちが、街角で唄う中井大悟を見ながら「どこかの人生で分岐した、あれは僕だ」と言い出してもおかしいことではない。詞の真っすぐさや、今唄いたい熱量に満ちていて、歌い手の存在を意識してしまう。そして思い入れしてしまう。いつまでも唄い続けてくれるんじゃないか。会社組織の幹部となって悩む日々も、路上でギターケースを広げる日々も、あの時選んだ道の自分のおもいっきり。いつの間にかじわじわ疲れ切っていたとき、その過程にも忘れていた全力投球があったことを、思い出させてくれる。→