青い夜のさよなら

寺尾紗穂/ミディ

木管楽器のような歌声が好きで、ふと聞き流していると、世間的な日々の見逃した隙間が歌われるのが良い。現代の地続きの街に、確かに暮らしているであろう各歌詞の主人公たち。こんなふうに目に映っている、きれいな瞬間、悲しい瞬間があるのかよ。『バスの中で』君は多分、あの時泣いていた。僕の中で君はあの日のまま泣いている。一瞬か、ほんの何日間の出来事。新鮮な風景は、あるいは私がかつて居た、もう忘れてしまった出来事としか思えない。だって、この歌に自分の記憶の映像が定着しているのだから。君の決めた帰郷で、君は最後とは思わないから後悔なんかしていなくて、それで僕だけが二度と会えない気がしていたという、これが東京生まれの味わう気持ちだ。→