錻力の太鼓

錻力の太鼓

Japan/Virgin

毛主席の写真の前でハシで米を食べるデビッド・シルビアン。その名も「広東」という朱色の宮殿を思わせるインスト曲を、この時期このバンドがアルバムに収録し世界へ放ったというおもしろさ。東洋への尊敬があり、音楽への自信があるこのアルバムを、地球の裏側で受け取った日本人の若者が熱狂した事実。全体はバンドというより電子っぽい。日本の詩吟の様な詠いがSE的に入るなど随所に東洋趣味披露。音だけでなく、アーチスト写真、発表形態に期待値が増幅装置として好評価の作用をしていた。戦後に顔立ちの整った白人を、物珍しく見ていたような羨望異物感が、当時の中高生にもあったと思う。音楽誌の写真を見ながら若者たちの「ギブミーチョコレート」。→