南京の基督

南京の基督

梅林茂/Columbia

芥川龍之介「南京の基督」をトニー・オウ監督以下香港スタッフが映画化。冨田靖子演ずる娼婦、金花が病により命が微弱してゆきつつも、純粋な信仰、純粋な愛を選択してゆく様を演出する悲しくもしずかな弦楽器の旋律。悲劇ではあるが、浸っていたい静寂のような、ゆとりのあるメインテーマ。聴きながら眠れるCD。映画見ないで聴くと退屈かもしれない。まず映画で寂しい気持ちを味わってからだ。主人公の二人、日本人が中国人を演じ、中国人が日本人を演じることで一粒の虚構感が残されており、残酷な筋書きにも絵画を見るような距離感がある。ガルマ事件の後で失脚させられたシャアがインドの貧民窟に出入りしてララアを見つけた、そんな話しを思い出した。→