ノーメイク、ストーリー

ノーメイク、ストーリー

杏沙子/ビクターエンタテインメント

ちょっと辛い出来事があって寂しい歌ばかりを聴いていました。でも、ショッキングな言葉は抱えたくないし、絶望を突きつけられるのは嫌。それでいて、のしかかってくるつらい気持ちのノルマを消費できる程度に自分を責めたい。そんな時に『見る目ないなぁ』を聴きました。自己を省みる「見る目ないなぁ」という言葉自体の響きがもつ諦め、慰め、情けない週末がこの歌の味覚。まみむめも、なにぬねの、は発音すると口元に甘い共感覚が発生する。ねぇねぇママあのね、なになにそうなのね。昔そこにあった、母との会話のような感触が「がんばったけれどダメだったよ」を、まずいお酒よりも懐深く包んでくれる。魔法の言葉が「見る目ないなぁ」だった。→